昨日書いた劇場1作目『機動警察パトレイバー the Movie』の感想『パトレイバー1と2、天使のたまごを見た』の続き。
今回は劇場2作目『機動警察パトレイバー 2 the Movie』と『天使のたまご』の感想。
日常内の戦争
1993年上映の劇場版第2作目は戦争を忘れた人に対する不満とか、不正義の平和とかがテーマです。ベイブリッジが爆破されるテロをきっかけとして、軍と警察が対立し、日本が戦争状態になるってのが物語のあらすじ。
戦争・防衛をテーマに扱った漫画で有名なものにかわぐちかいじの『沈黙の艦隊』(1988年~1996年)があります。『沈黙の戦艦』と『機動警察パトレイバー 2 the Movie』の明確な違いは、日常の風景が描かれているか、イケイケか批判的かどうか、です。
『沈黙の艦隊』は主人公の自衛隊海軍士官が、原子力戦艦を巧みに操って、米大統領や世界の首脳陣と肩を並べ、国家とは何かとかを問うとゆう物語ですが、そこには今を生きる人々の日常は全く描かれていません。また、いち海軍仕官が各国首脳と政治的に対等にやりとりするとゆう物語は、バブルの時代の日本とゆう国が持つ自意識過剰性も表しています。
対して『機動警察パトレイバー 2 the Movie』では日常の風景が日本中に展開された軍の部隊と共に描かれます。自衛隊の戦車が日本独特のあの黄色と黒の縞模様の踏切を渡っているシーンや、このシーンの前後で描かれる東京の日常にある軍隊のモンタージュ、例えば高層ビルに写る軍事ヘリや小学生が戦車に手を振る場面なども、日本で有事が起こるとゆう状況を象徴している印象深いシーンです。
見慣れた都市の日常の上に、戦車やヘリとゆう平時には見慣れない異物を挿入する事で、戦争を忘れた人に対する不満とゆうテーマを強調しています。
首都高・水・タルコフスキー
さきほどあげた戦車と踏み切りも印象に残る場面ですが、このアニメには他にいくつも印象深い場面がありました。
一つ一つあげていくと切りが無いですが、まず、爆破されたベイブリッジをたまたま撮影したカラオケのビデオを荒川、後藤、南雲の三人で見るシーン。この時のカメラ視点は三人が見るテレビの中にあるように魚眼レンズ風の効果で見せていて、話されている内容の陳腐さと構図の密室感や全体の色の暗さとがミスマッチで笑えました。
次に、首都高のシーン。車の後部座席から進行方向に向かって、フロントガラス越しにオレンジに光る夜の首都高が写されていて、その後で飛行機の発進時のような音と共に
全体の彩度が落ちて白黒に変わり、車が加速するシーンなんですが、これを見た時に、あぁ『ソラリス』だと思いました。
Andrei Tarkovsky(アンドレイ・タルコフスキー)ってゆうロシアの映画監督のSF映画『惑星ソラリス』で、名場面の一つに延々と首都高が写されるシーンがあって、それに似ています。曖昧な記憶で申しわけないんですが、特に音と車の速度感が似ているんだと思います。記憶力の無さが憎い。
5、6年前に見たこのシーンを思い出した時に浮かぶ疑問は、なぜタルコフスキーか、です。調べてみると押井守はタルコフスキーが好きみたいなんですが、タルコフスキーと言われて表象するイメージは、透明感のある水の表情とキリスト教的精神世界です。
で、やや強引に『天使のたまご』の感想に移ると、『天使のたまご』にも透明感のある水の表情とキリスト教的精神世界が見え隠れしてるな、と思います。
この『天使のたまご』はかなりメタファーの多いアニメで、何通りか解釈が出来るはずですが、考えるのはしんどそうなので、さらっと思いついた部分だけをメモ。
- 赤いジャムとか赤い水はそのまま生理でビンは子宮。女性。
- 海老(有機的)な戦車、魚をつかまえる銛、は男性。
- 鳥は神、父性
- 水面=鏡=鏡像段階。自我との乖離。
- 魚=対象a
参照・参考
天使のたまごについて
An interpretation of “Angel’s Egg” (1) — R.G.B. HUCC branch
photo by Issey Niwa
Category :
アニメーション
Tags: animation, アンドレイ・タルコフスキー, 天使のたまご, 押井 守, 機動警察パトレイバー
2006-11-30
by
rui_mashita
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